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フリーランスSE(システムエンジニア)の働き方とは
そもそもフリーランスSE(システムエンジニア)とは、企業や団体に所属せずに個人で仕事を請け負うシステムエンジニアのことです。つまり法人を設立せず、個人で事業を営むことになります。仕事は、案件単位でクライアントから直接的に獲得する流れがほとんどです。
そんなフリーランスSEは、働き方によって常駐型と請負型の2タイプに分けられます。
常駐型
常駐型は、客先のオフィスに常駐して働くタイプです。クライアントと業務委託契約を結び、期間中は指定されたオフィスに出勤して、毎月固定された額の収入を得ます。
雇用契約を結ぶ会社員SEと同じように思えますが、常駐日数や報酬などの条件は交渉しやすいのが特徴です。勤務日数も会社員SEと同じく、週5日が一般的ですが、条件に応じて日数も変化します。
請負型
クライアントから仕事を請け負って報酬を得るタイプです。常駐型と異なり、仕事をする場所は自由となっている場合が多いのが特徴です。自宅やコワーキングスペースを活用する方もいます。
システムエンジニアは業務上、他のメンバーとの連携も多くなるため、請負型は常駐型よりも任される仕事が制限されます。一方で、働く時間や請け負う仕事の量を調整しやすい点はメリットです。
フリーランスSE(システムエンジニア)として働くメリット
システムエンジニアの需要は高く、正社員や派遣社員の求人も多く見つかります。あえてフリーランスを選ぶ理由は、雇用契約を結ぶ働き方とは異なるメリットが得られるためです。
ここでは、フリーランスSEとして働く3つのメリットを紹介します。
働く場所や時間を自由に決められる
請負型は、働く場所や時間を自由に決められます。常駐型もあらかじめ条件に沿って仕事を探すと、理想のスタイルで働けます。
ほかには、仕事内容や現場などで仕事を選ぶことも可能です。会社員であれば、上長から指示があれば苦手な作業や好ましくない業務も行わなくてはなりません。一方、フリーランスSEなら、仕事自体を受けるかどうかを決められるため、本当にやりたい仕事を優先的に受けられます。
自分がやりたい仕事に取り組めるチャンスが増え、やりがいを感じやすくなることもメリットです。
スキルによっては会社員よりも高年収が目指せる
フリーランスと聞くと、収入が安定しないのではと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。レバテックの調査では、2022年6月時点でのフリーランスSEの平均年収は816万円です。
一方、経済産業省の統計データを参照すると、会社員SEの平均年収は593万円でした。単純に考えても、フリーランスSEの平均年収の方が223万円多く得ています。
出典::経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」)
専門性の高い知識やスキルを有しているフリーランスSEは、会社員時代よりも高年収を目指せる可能性があります。
経費計上することで節税対策できる
フリーランスの仕事に関わる費用のほとんどを経費として計上できます。経費計上すると一年間の所得(収入から必要経費を差し引いた額)が抑えられ、節税対策につながります。
経費計上できる費用は、パソコンや周辺機器など物品の購入費だけではありません。毎月の通信費や事務所の賃料、交通費、接待交際費などさまざまです。自宅の一部を仕事場としている場合も、一定の割合で賃料や水道光熱費を経費として計上できる場合があります。
フリーランスSEのデメリット
フリーランスとして働くといくつかのデメリットも生じます。フリーランスSEを目指すときは、メリット面だけではなくデメリットも理解したうえで独立開業の準備を進めましょう。
フリーランスSEが直面する可能性のあるデメリットは次の3つです。
収入に波がある
フリーランスは常駐型など一部の契約を除くと、受けた案件の量によって毎月の収入が変動します。たとえば、独立したては受注できる案件数に波が起きやすく、継続的な案件や新規クライアントがなかなか得られない時期です。
思うように案件を獲得できないことで収入が得られないリスクも考えられます。それほどフリーランスとは収入が不安定なのです。
生活費を確保するためにも事前の対策が重要です。たとえば、独立の資金を多めに用意したり、仕事を紹介してくれるエージェントサイトに登録したりといったものです。
本業以外の作業が増える
フリーランスSEの仕事は、システム開発だけではなく事務作業も自分で行わなければなりません。経費の計算、確定申告などの税金関連や、契約による収入や経費による支出などの帳簿管理などが必要です。
これらの作業をスムーズに進めるために、本業以外の知識も身につけなくてはなりません。一部の業務は会計士など専門家に委託することもできます。しかし、会社員時代に比べると、雑務は増えてしまいます。
福利厚生が受けられない
社会保険や厚生年金などの法定福利厚生を受けることができなくなります。フリーランスの場合は国民健康保険や国民年金に加入する義務があり、毎月の保険料も全額負担しなくてはなりません。
会社独自で定められている法定外福利厚生も、フリーランスは失うことになります。法定外福利厚生とは、住宅手当や交通費、特別休暇などが挙げられます。
フリーランスSE(システムエンジニア)として成功する人の特徴
フリーランスSEとして成功するためには、クライアントが継続的に依頼したいと思えるような能力や要素を備えておくことが重要です。
安定的にやりがいのある仕事を依頼してもらえるフリーランスSEの特徴として、次の4つが挙げられます。
専門性の高いスキルを持っている人
フリーランスは即戦力として働けることが大前提です。多くのクライアントが知識も経験もある人材と判断して依頼するため、要求に応えられるだけの専門的なスキルが必要です。
幅広い分野に慣れていることも重要ですが、一部の分野に特化していることも大きな強みとなります。自分が得意なことや、やりがいを感じる分野があれば意識して能力を磨きましょう。
常に向上心を持っている人
IT業界は、トレンドの移り変わりが早いのが特徴です。常に新しい技術や知識を得て、スキルアップし続けようとする向上心が欠かせません。
業務の効率化など改善へ積極的に取り組む姿勢は、クライアントにも好印象をもってもらえます。いつ相談しても新しい情報や知識をもっているSEなら、継続的に案件を依頼したいと思ってもらえるでしょう。
幅広い人脈がありコミュニケーション能力が高い人
案件を受注する経路は、さまざまです。より多くの選択肢の中から仕事を選びたい、または安定的に受注したいなら幅広い人脈が求められます。会社員時代に培った人脈があれば、フリーランス転向後に案件の受注経路として活用できます。
また、コミュニケーション能力も重要です。自ら営業活動を行う必要があるフリーランスは、コミュニケーション能力に優れていると有利になります。案件受注後、チームメンバーとの情報共有や業務遂行もスムーズに行えるでしょう。
セルフマネジメントがしっかりできる人
フリーランスのメリットは、規定の勤務時間に縛られず作業できることです。一方で、自己管理が不十分な状態ではスケジュール進行や仕事への取り組みに影響が出ます。
とくに常駐型と異なりプライベート空間で仕事をする請負型は、オンオフの区別がつきにくくなります。気持ちを切り替えてスケジュール管理できる、セルフマネジメント能力が欠かせません。
セルフマネジメントをしっかり実行できれば、自分に合ったワークライフバランスで無理なく働けます。
まとめ
フリーランスSE主な働き方は、常駐型と請負型の2タイプです。自分が取り組みたい作業や優先したい条件をもとに働きやすいスタイルを選べます。
一方でフリーランスは自分の売り込みや仕事の受注もすべて自ら行う必要があり、SEスキルのみでは思うように働けないリスクも考えられます。独立を成功させるためには、専門スキルに加えてセルフマネジメント能力を磨き、幅広い人脈を構築しておくことが重要です。