フリーランスも税務調査される?必要な対応と注意点を紹介

「フリーランスとして働き始めたけれど、税務調査って来るの?」「税務調査って何をされるの?どうやって対応すれば良いの?」「そもそも税務調査って何?」など、フリーランスとして働いている方の中には、こんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、税務調査とは何なのか、フリーランスも税務調査されるのか、フリーランスが税務調査された場合の対応と注意点などを紹介します。


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税務調査とは?

税務調査とは、徴税機関(国税庁およびその地方支分部局である国税局、国税事務所、税務署、税関)が、税金を納めるべき人や会社が、正しい納税額を申告しているかどうかを帳簿などで確認し、誤りがあれば是正を求める一連の調査手続をいいます。

まずは、税務調査の種類や時期、流れについて解説します。

税務調査の種類

税務調査は「強制調査」と「任意調査」の2種類に分類されます。

強制調査

強制調査は国税犯則取締法に基づく調査で、裁判所からの令状を持って国税局査察部が強制的に行う税務調査です。

悪質で多額の脱税の疑いがある納税者が対象で、強制力があるため調査を拒否することはできません。調査で脱税が発覚した場合は刑事事件として扱われ、逮捕される場合もあります。

任意調査

任意調査は脱税の疑いがない多くの法人や個人が対象の税務調査で、通常の課税処分のために実施される税務調査です。各税務署や国税局の税務調査官が、質問検査権を有して行います。

裁判所からの令状はなく、納税者の協力によって行われます。「任意」とはいえ基本的に質問検査権を拒否することはできないとされています。調査そのものを断ることもできません。

また、任意調査は事前に税務署から電話で訪問日時などの連絡が入るため、突然訪問されることはありません。電話での事前通知が困難な場合は、通知書が届きます。もし通知を受けたら、書類を用意するなどの準備を進めておきましょう。

税務調査の時期

税務調査を実施する時期に関して明確な決まりはなく、一年を通して行われます。

特に、下記の2つの時期は税務調査実施件数が多い傾向にあります。

8月中旬〜11月中旬頃

7月はじめに国税局や税務署の人事異動が行われ、新たな組織として動き始めるのが8月中旬頃です。お盆休暇が明けた後から、本格的にその年度の税務調査を進めていくことが一般的です。

また、日本の法人の多くが3月末に決算期を設定しているため、7月から12月は特に税務調査の件数が多くなります。

4月~5月頃

3月の確定申告が終わるため、その後の4~5月頃に税務調査の実施が増えるとされています。

税務調査の流れ

一般的な任意調査の場合は、下記の手順で税務調査が実施されます。

  1. 調査通知
  2. 事前通知
  3. 事前準備
  4. 調査
  5. 調査終了の手続

一般的に、国税通則法に基づいて、税務調査を実施する1~3週間前に税務署から調査日時について事前通知が来ます。指定された日時での対応が難しい場合は、税務署に相談して日程調整を行いましょう。

税務調査の日程が決まったら、必要書類を揃える必要があります。顧問税理士がいる場合には打ち合わせを行うなど、書類の記載内容などを見直し、指摘されるリスクがあるものについては正しく回答できるように準備を進めます。

この段階で申告内容の不備や申告漏れなどが確認できた場合には、税務調査前に修正申告または期限後申告を行いましょう。延滞税のペナルティは発生しますが、税務調査後よりもペナルティ負担は軽減されます。

税務調査当日は、税務調査官が調査対象となる店舗や会社に訪れ、会社の事業概要に関するヒアリングを行うのが一般的です。ひと通り確認した後、事前に準備した会計資料などをもとに調査が始まり、その後1日~3日ほどかけて書類の確認作業が行われます。調査の結果、特に問題がなければ書面での通知が届いて終了です。

申告内容に誤りがあった場合には、調査官からその内容の説明を受けた上で、修正申告や期限後申告が勧められます。

応じなかった場合は、税務署が更正や決定処分をし、その旨の通知書が届きます。調査の結果、指摘された点について異議がある場合には、理由と根拠を明確にし、税務調査官と交渉しましょう。

フリーランスも税務調査される?

フリーランスとして働いている方にとって、自分が税務調査の対象となるのかは気になる点かと思います。

結論として、フリーランスの場合でも税務調査が入ることはあります。個人であっても法人であっても税務調査の対象となる点は変わりません。

フリーランスに税務調査が入る確率

フリーランスに税務調査が入る確率は、法人の場合で4%~4.5%程度、個人事業主の場合で2.6%~3%程度といわれています。

税務調査の対象になりやすいフリーランスの特徴

税務調査の対象になりやすいフリーランスの特徴を下記の表にまとめました。

  • 確定申告をしていない
  • 控除ぎりぎりの申告が続いている
  • 税務調査が積極的に行われている業種
  • 申告漏れ金額が多い業種
  • 経費に不審な点がある
  • 事業規模が大きい
  • 売上や利益が大きく変動している
  • 過去の税務調査で指摘を受けている

上記のケースが当てはまる方は、税務調査がされる可能性が高いといえるでしょう。

こちらは国税庁や税務署が公開している情報ではありませんので、参考程度にご参照ください。

フリーランスが税務調査された場合の対応と注意点

フリーランスも税務調査の対象となるため、税務調査された場合の対応と、注意するべき点について解説します。

税務調査で確認されやすいポイント

税務調査で確認されやすいポイントを紹介します。

売上および仕入金額

売上は、税務調査で必ずといって良いほどチェックされます。主に下記の点が確認されます。

・計上漏れや過少申告がないか
・計上時期に誤りがないか
・預金通帳と帳簿・決算書が一致しているかどうか

仕入

実際には存在しない取引を仕入として帳簿に記載すれば、課税所得の減少により納める税額が減ります。そのため、主に下記の内容が確認されます。

・架空仕入がないか
・計上時期に誤りがないか

交際費

交際費については、主に下記の内容が確認されます。

・本来交際費に該当する取引をほかの科目で処理していないか
・(個人の場合)家族や友人との飲食代など事業と関係の無い支出を交際費に計上していないか

人件費

人件費については、従業員名簿やタイムカードから主に下記の内容が確認されます。

・従業員は存在するか
・架空の人件費が計上されていないか
・(法人の場合)定款や株主総会議事録などから役員報酬や退職金は過大ではないか
・事前確定届出給与の届出はされているか

期ズレ

期ズレがあると本来納めるべき税金の金額が変わります。そのため、主に下記の内容が確認されます。

・本来の事業年度ではない分の売上や費用を計上している期ズレがないか

誤りがないように、売上や費用の事実が発生したタイミングで計上する発生主義で計上するようにしましょう。

辻褄の合わない領収書

・交通費の空計上をしていないか
・高頻度で利用している飲食店の領収書は不当なものでないか

といった観点で、場合によっては領収書をチェックされることもあります。

税務調査された場合の対応と注意点

税務調査が入る際は、任意調査の場合、原則として事前に調査の日時や場所、対象税目や対象期間が通知されます。

そのため、事前に下記のような点に注意しておきましょう。

税務調査に必要な書類を用意しておく

調査官の指示に従い、調査に必要な書類を準備します。

▼必要書類の例

  • 3期分の総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 請求書
  • 領収書
  • 預金通帳

協力的な態度で接する

税務調査をスムーズに終わらせるために、税務調査には協力的な態度で臨むことが大切です。調査官からの質問や書類提出の要求には、誠実な対応を心がけましょう。

正当な理由がなく書類の提示または提出の要求に応じない場合は、罰則が課されます。

正確な情報を提供する

税務調査官の質問に対して曖昧な返答をしたり、事実をごまかすような返答をしたりすると、必要のない不信感を与える可能性があります。

質問には正確かつ誠実に回答すると良いでしょう。

税務調査に備えて日頃から準備をしておくこと

日頃からきちんと準備をしておけば、税務調査を必要以上に恐れることはありません。

無申告や過少申告に注意する

無申告や過少申告は隠し通せません。絶対に行わないようにしましょう。

記帳を定期的に行う

日頃から定期的に記帳を行うことが大切です。確定申告の直前にまとめて行うと、ミスが増えて申告漏れの原因になります。

帳簿や書類の保管方法を決める

税務調査では帳簿などを確認されるため、慌てないためにも書類や領収書、帳簿などを適切に保管することが重要です。事業年度に分けて保管しておくと確認しやすくなります。

まとめ

今回は、フリーランスも税務調査の対象になることや、税務調査の際の対応について解説しました。

いざ調査が入ったときには、こちらの記事を参考にして、誠実に対応するようにしましょう。