PMとPMOの違いを解説!役割や仕事内容とは?

エンジニア職におけるPMやPMOは、プロジェクトをスムーズに進行するためのマネジメント業務を行います。このふたつは業務内容が似ていることから、同じ役割であると認識されやすいですが、実は明確な違いがあります。現在プログラマーやSEとして働いていて、キャリアアップを考えているのであれば、それぞれの違いをきちんと理解することが大切です。 今回は、PMとPMOの違いについて「立ち位置」「業務内容」「求められるスキル」「キャリアステップ」の4つの観点から解説します。


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PMとPMOの違い【1】:立ち位置

まずはPMとPMOの立ち位置、役割の違いについて解説します。

PM:プロジェクトの総責任者

PM(プロジェクトマネージャー)は、プロジェクトにおける総責任者のポジションに該当し、円滑に担当案件を進めるために、予算やスケジュール、メンバー、制作物の品質などの管理を行います。このことからPMはプロジェクトの成功を大きく左右する重要ポジションであるといえます。

企業によっては「PL(プロジェクトリーダー)」を配置するところもあります。主な役割はアサインされたプロジェクトのリーダーとしてチームをまとめることです。PMとPLは混同されやすいですが、違いを端的に表すと、PMはプロジェクト全体の管理者、PLはプロジェクト現場の管理者です。

PMO:プロジェクトを支援する事務局や構造システム

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、企業におけるプロジェクトマネジメント全体を支援する部門または機能のことです。しかし、コンサルティング業界においては、PMOの職務に従事する人を「PMO」あるいは「PMOコンサルタント」と呼ぶこともあります。

PMとPMOの両者は役割が被る部分もありますが、活動の目的は異なります。PMは担当するプロジェクトを成功に導くためにプロジェクトマネジメントを行う一方、PMOは企業が請け負っている全プロジェクトを円滑に進めるためにマネジメント業務を担います。

PMOは企業内の部署として設置されることもありますが、PMO業務を外部の専門会社(PMOコンサル会社)に委託するケースもあります。

PMOには以下3つの役割があります。

【PMOアドミニストレータ】
事務作業をメインに担当し、プロジェクトにおける社内プロセスを円滑に進めます。

【PMOエキスパート】
プロジェクト環境の整備や、業務プロセスの改善・効率化を図ります。

【PMOマネージャー】
PMOメンバーの管理や教育など、PMO全体の管理を行います。

PMとPMOの違い【2】:業務

ここからはPMとPMOそれぞれの業務内容をみていきます。

PM:プロジェクトに関する管理業務

企業によって異なりますが、一般的なPMの主な業務内容は以下のとおりです。

【プロジェクトの企画〜計画立案】
クライアントの経営課題やニーズをヒアリングし、プロジェクトの企画を練ります。それに基づいて予算やスケジュール、リソースの確保などを含む具体的なプロジェクトの計画を立案します。

【進行管理】
プロジェクトがスタートしたら、チームを指揮し全体の進行管理を担当します。メンバーにタスクを割り当て、プロジェクト関係者と適宜コミュニケーションを取り、トラブルが起きたら迅速に対応します。

【品質管理】
高いクオリティの成果物を提供するために、制作過程で品質を確認・管理します。

【ステークホルダーや各部署とのコミュニケーション】
必要に応じて他部署やステークホルダーに対して、プロジェクトの進捗や重要な情報を報告します。

【評価・レビュー】
プロジェクトが完了したら、プロジェクト全体の評価やレビューを行います。案件の成功要因や改善点を抽出し、次回のプロジェクトに活かします。

PMO:PMの実務を補填する

PMOはPMのパフォーマンス発揮を支援する裏方のような存在です。主な業務内容は下記です。

【プロジェクトマネジメント標準】
プロジェクトマネジメントのプロセスや手法を標準化し、統一します。

【プロジェクトマネージャーのサポート】
プロジェクトマネージャーが標準化されたプロセスを理解し、適用できるように支援します。

【リソースの管理と調整】
組織全体の業務量や人員を把握し、各プロジェクトに必要なリソースを最適に配置します。

【品質管理&モニタリング】
プロジェクトのモニタリングを行い、成果物が企業の品質基準を満たしているかチェックします。

【評価】
プロジェクト完了後は評価を行います。プロジェクトで得たノウハウは記録しておき、次回に活かします。

PMとPMOの違い【3】:求められるスキル

上記で紹介した業務をこなすにはさまざまな能力が求められます。とはいえ役割によって異なります。ここでは、必要なスキルをPMとPMOに分けてご紹介します。

PM:コミュニケーションスキル、テクニカルスキル

PMはプロジェクトを統括するポジションとして、以下のようなスキルが求められます。

【リーダーシップ&コミュニケーションスキル】
プロジェクトチームを指導し、成功に導くためのリーダーシップが必要です。またステークホルダーやチームメンバーと接する機会が多いため、コミュニケーションスキルも欠かせません。

【マネジメントスキル】
案件を円滑に進めるためには、効率的にスケジュールやリソース、品質を管理する能力が不可欠です。

【テクニカルスキル】
プロジェクトマネージャーが現場で実務を行うことは基本的にありません。とはいえ、プロジェクト管理者として意思決定やトラブル対応を行うためには、システムの開発や設計におけるテクニカルスキルは必須です。

【クライアントが属する業界の知識】
クライアントのビジネス課題を解決するためには、依頼主が属する業界の知識やトレンドに加え、業界に関連する法律の知識もある程度求められます。

PMO:文章作成スキル、プロジェクト管理スキル

PMOにはプロジェクトマネジメントを支援する裏方としてのスキルが必要です。

【文書作成スキル】
プロジェクトマネジメントの標準化において、PMOはオフィスソフト(Word、Excel、PowerPointなど)を使って誰もが理解できる資料を作成できなくてはなりません。

【コミュニケーションスキル】
プロジェクトメンバーやステークホルダーとの連携を強化するために、コミュニケーションを円滑に行うスキルが必要です。

【プロジェクトマネジメントスキル】
組織全体におけるプロジェクトの優先順位付けと最適なリソース配分を行うマネジメントスキルが必須です。

PMOはPMの支援業務も行うため、PMほどではないものの、ある程度のプロジェクトマネジメント能力(品質管理、リスク管理など)が求められます。

PMとPMOの違い【4】:キャリアステップ

最後にPMとPMOのキャリアステップの違いについて解説します。

PM:スペシャリスト、コンサルタント、経営層、フリーランス

PMにはエンジニアとしての十分なスキルと経験が求められるため、PMになるには時間がかかることを覚悟しましょう。PMになるまでの一般的な道のりは、以下のとおりです。

1.プログラマー
2.SE
3.PL
4.PM

そしてPMのキャリアステップとして、主に以下の4つが挙げられます。

1.ITスペシャリスト:ITエンジニアとして活躍したい方向け
2.ITコンサルタント:クライアントの課題解決に関わりたい方向け
3.CIO、CTO、CDO:経営に関わりたい方向け
4.フリーランス:自由な働き方がしたい+高収入を目指したい方向け

PMO:コンサルタント、社内PMO、フリーランス

PMほどではありませんが、PMOもプロジェクト全体の流れや進行についての知識が必要であるため、エンジニアとして一定の経験を積んでから就業するのが主流です。以下はPMOになるまでの基本的なロードマップです。

1.プログラマー
2.SE
3.PMO

PMOのキャリアステップは主に以下の4つが考えられます。

1.PM:プロジェクトを牽引していきたい方向け
2.ITコンサルタント:クライアントの課題解決に関わりたい方向け
3.社内PMO:自社で活躍したい方向け
4.フリーランス:高収入を目指したい方向け

まとめ

PMとPMOは役割や業務内容、求められるスキルなどが異なります。現在SEやプログラマーとして働いていて、同職種へのキャリアアップを考えているのであれば以下のような資格を取得するのもおすすめです。

PMやPMOへの転職に役立つ資格には、以下が挙げられます。気になるものがあれば、ぜひ挑戦してみてください。

・プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格
・PMOスペシャリスト認定資格
・PMP
・プロジェクトマネージャ試験