フリーランスになる前にやっておきたい5つのこと
会社員からフリーランスになる場合、これまで会社がやってくれていた手続きのすべてを自分で行うことになります。
フリーランスになってスムーズに生活していけるように事前に準備しておくことが大切です。ここでは、フリーランスになる前にやっておきたいことを5つに分けて説明します。
審査が必要になる不動産の賃貸契約
フリーランスは会社員と違って毎月の給与保証がないため、安定して毎月収入が得られるとは限りません。そのため、不動産の賃貸契約による審査が通りにくくなります。
信頼のおける連帯保証人を見つけたり保証会社と契約したりすることで、フリーランスでも物件を借りることは可能です。しかし、保証人探しの労力や保証会社に支払う費用がかかってしまいます。
引っ越しを考えているのであれば、フリーランスになる前に不動産の賃貸契約を結んでおいた方が希望の物件に住める可能性が高いです。
審査が必要になるクレジットカードの契約
フリーランスはビジネスで必要な経費をカードで支払うことで、支払いを追跡しやすくなるため、経理上のメリットがあります。
しかし、クレジットカードの契約も不動産と同様、フリーランスの場合は審査が通りにくくなることも少なくありません。クレジットカード会社によっては、フリーランスに対して利用制限を設けている場合もあります。
社会的信用のある会社員のうちにクレジットカードを発行しておくと良いでしょう。
仕事専用の銀行口座の開設
仕事専用の銀行口座があれば、ビジネスで発生する収入と支出を明確に管理できます。個人の銀行口座と混同しないため、収支の管理が容易になるほか、確定申告の際に税金納入額を計算しやすくなります。
ほかにも、仕事専用の銀行口座があることで、ビジネスの信頼性が高まる点もメリットです。
仕事に必要なスキルの向上
クライアントに提供できるサービスや品質が高いことは、フリーランスにとって非常に重要な要素です。
独立後は忙しくなることが多く、スキルアップは会社員時代に行っておいたほうが時間・コスト面で有利になる場合があります。
特に資格の取得には時間を要することが多いため、目指しているものがあれば会社員のうちに取得しておきましょう。十分なスキルを身に付けたうえで独立すれば、品質の高いサービスの効率的な提供につながります。
人脈や信頼関係を広げておく
独立後に安定して仕事をするためにも、人脈や信頼関係を広げておくことが大事です。多くの人に自身のビジネスを知ってもらえれば、紹介や口コミによって仕事を受注できる可能性が高まります。独立前に固定のクライアントや継続案件があれば、一定期間は仕事に困りません。
また、人脈が広がれば、さまざまな業界や分野の情報が入ってきやすくなり、仕事の獲得につながります。
クライアント以外にも、ビジネス仲間をつくることも重要です。ビジネスパートナーとして仕事をこなせる仲間がいれば、業務効率を上げていくことも可能になるでしょう。
フリーランスはひとりでビジネスを行うことが多いため、孤独感を感じることもあります。人とつながりがあることで、安心感が得られモチベーションの維持にもつながります。
独立するための開業費と生活費
独立する際に、開業費と生活費についても考えておくことが大事です。
業種にもよりますが、独立する際には、店舗費用や広告費用などの開業費が発生する場合があります。また、独立後は安定した収入が得られるとは限らないため、当面の生活費も気にする必要があります。
ここでは、フリーランスが知っておきたい開業費と生活費について解説します。
開業費にできるものと開業費にできないもの
個人事業主の場合、開業以前に支払った経費は基本的に「開業費」として計上可能です。理論上、開業のために支出した費用は何年前のものでも開業費にできます。
開業費にできるものとできないものは、以下の通りです。
【開業費にできるもの】
・店舗を開く立地の調査費
・事務所の家賃
・パソコンの購入費
・開業にあたってのセミナーへの参加費
・広告宣伝費
・通信費用
・調査に必要な旅費・ガソリン代
・打ち合わせに関する費用
【開業費にできないもの】
・10万円以上するもの(固定資産に該当するため)
・仕入れ代金(売上原価に該当するため)
・敷金礼金(後日返ってくるものは経費にできないため)
生活費の確保
フリーランスになると定期的な収入がなくなるため、当面の生活費を確保しておくことが大事です。目安としては、独立後1年分の生活費を確保しておきましょう。貯金によって、ビジネスが安定するまでの生活費を確保できます。
クラウドソーシングが一般的になり、フリーランスが仕事を獲得しやすい世の中になってはいますが、それでも仕事の発注から納品までの流れに慣れるのは時間がかかります。当面の期間、収入が少なくても問題ないように生活費を確保してから独立しましょう。
フリーランスとして効率的に仕事をこなすために必要な準備
フリーランスとして独立後にスムーズに仕事をこなすためには、環境の準備が大切です。独立後に忙しくなることも多いため、できることは会社員のうちにしておきましょう。ここでは、フリーランスとして働くうえで独立前に準備しておきたいことについて解説します。
あらかじめ揃えておくもの
仕事で必要なものは業種によって異なりますが、以下のものはフリーランスになる前に揃えておきましょう。
・仕事部屋
・パソコン
・パソコンの周辺機器類(プリンター、モデム、ルーターなど)
・名刺
・事務用品
独立後に事務所を借りるとお金がかかるため、ビジネスが安定するまで自宅で仕事をすることが一般的です。自宅で仕事をする場合には、仕事部屋の環境を整えておきましょう。
上記のほかにも、仕事に必要なソフトウェアやツールがあれば揃えておきましょう。例えば、ビジネスに必要なオフィスソフト、ビデオ会議用のアプリ、デザインツールなどです。
案件の獲得に向けて実施すること
フリーランスは自分で営業活動を行い、仕事を獲得するのが一般的です。フリーランスが案件を獲得するために実施することは、以下のとおりです。
・ポートフォリオ作成
・エージェントへ登録
・クライアントとの交流
・オンラインサロンへ参加
・クラウドソーシングサイトへ登録
・SNSで独立を告知
・ホームページの制作
独立前に興味のある業界のイベントやオンラインコミュニティに参加し、クライアントとの交流を積極的に行うのがおすすめです。交流を通じて、クライアントのニーズや要望を把握することができます。
フリーランスになる際に必要な手続き
フリーランスになると、これまで会社が行なってくれた保険や税金の手続きなどを自分で行う必要があります。独立後に慌てて手続きをしなくて済むように、ここで紹介することを押さえておきましょう。
健康保険の加入
フリーランスが健康保険に加入するには、以下の3つの選択肢があります。
・国民健康保険に加入する
・会社の健康保険を任意継続する
・国民健康保険組合に加入する
国民健康保険は、最も一般的な健康保険です。前年度の収入に応じて保険料が変わってきます。
会社で加入していた健康保険を任意継続することも可能です。ただし退職後20日以内に手続きが必要なため注意しましょう。
国民健康保険組合に加入するには、業種や地域など一定の条件を満たす必要があります。たとえば、フリーランスのデザイナーであれば「文芸美術国民健康保険組合」に加入できます。
国民年金の加入
会社に属していた場合は厚生年金を納めるのが一般的ですが、フリーランスになると国民年金を納めることになります。年金の手続きは最寄りの役所でできるため、早めに行いましょう。
小規模企業共済制度の加入
フリーランスになると退職金が出ないため、小規模企業共済制度に加入するのもおすすめです。
小規模企業共済制度とは、積立による退職金制度です。月額1,000円〜70,000円までの掛け金で、退職時に掛け金の最大120%を受け取れます。
掛け金は確定申告で控除の対象となるため、節税対策にもなります。検討してみましょう。
開業届 の提出
開業届は個人事業主が事業を開始する際に、所轄の役所に提出する届出書のことです。フリーランスになる場合、開業届を提出することで所得税や消費税の納税義務が生じます。
開業届を提出しなくても特に罰則はありませんが、法律上では開業届を出すことが義務付けられています。
開業届を出すメリットは、節税効果の高い青色申告で確定申告ができるようになることです。また開業届を提出することで、個人事業主としての自覚が生まれるほか、顧客や取引先からの信頼を得られ、ビジネスチャンスを増やせるでしょう。
まとめ
フリーランスになると、仕事の獲得から経理まで基本的に自分で行う必要があります。人によっては会社員のときよりも忙しく、余裕がなくなることもあるでしょう。
そのため、フリーランスになる前に事前に準備しておくことが大切です。入念に準備を行なって、独立後もスムーズに仕事が獲得できるようにしましょう。