フリーランスが加入できる保険は?
フリーランスが加入できる保険にはさまざまな種類があります。ここでは、特におすすめの保険などについて詳しく見ていきます。
フリーランスが入らなくてはいけない保険
フリーランスが最低限加入すべき保険には、国民健康保険や国民年金保険、介護保険(40歳以上の人)などがあります。これらは法律で定められた義務ですので、注意が必要です。
国民健康保険
フリーランスとして働く場合、国民健康保険に加入することが義務付けられています。この保険により、病気や怪我の際の医療費が一部補償され、安心して仕事に取り組むことができます。
国民健康保険は都道府県や市区町村が運営する健康保険で、フリーランス、個人事業主、自営業者、短時間労働者など、社会保険に加入していない人を対象としています。
保険料は、会社員として加入する社会保険と異なり全額自己負担です。
国民年金保険
国民年金保険もフリーランスにとって重要な保険の一つです。この保険に加入することで、将来の年金を受け取るための基礎を築くことができます。年金保険料は収入に応じて決定され、定期的に納付することが求められます。
フリーランスも含め、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方の全員が加入する保険です。会社員の場合は、国民年金に上乗せで支給される厚生年金に加入していますが、フリーランスに関しては基礎年金である国民年金のみに加入する形になります。
国民健康保険と合わせて、お住まいの自治体の市区町村で手続きを行いましょう。
介護保険
介護保険は高齢化社会においてますます重要性を増しています。フリーランスも例外ではなく、介護保険料の納付が求められます。将来的に自身や家族が介護を必要とする場合に備え、この保険に加入しておくことが賢明です。
40歳以上の健康保険加入者は全員加入が必要です。
フリーランスにおすすめの保険
ここでは、フリーランスとして働くうえでおすすめの保険をご紹介します。
会社員として働いているときと違い、もしものときも会社が守ってくれない分、自身でしっかり保障できるように準備をしておきましょう。
医療保険
医療保険は、病気やケガで通院したり入院したりする場合に、給付金を受け取れる保険です。傷病手当金を受け取れないフリーランスにとって、非常に重要な保険といえるでしょう。
三大疾病特約や先進医療特約などの特約を付帯させることもできるため、必要だと思う部分の保障を手厚くすることも可能です。
収入保障保険
収入保障保険<は、もしものことがあったときに、残された家族の生活を守るための保険です。
死亡や高度障害状態の場合に、毎月一定額の保険金が、保険期間の満了まで支払われる保険です。通常の生命保険と違い、亡くなったタイミングで受け取れる保険金の総額が変動します。
賠償責任保険
賠償責任保険は、取引先から損害賠償を請求された際に、その一部を保険金として負担してくれる民間の保険制度です。
例えば、著作権等侵害、情報漏洩、納品物の欠陥などのトラブルが起こった場合に役に立つ保険です。
フリーランスが知っておくべき保険の基礎知識
フリーランスとして働きはじめる際には、保険についても重要な考慮事項となります。会社員時代とは異なり、自身で保険を選び、加入しなければなりません。
フリーランスの人が知っておくべき保険の基礎知識を理解して、病気や怪我をした場合や、万が一の事態に早めに備えましょう。
国民皆保険制度とは
日本では、国民皆保険制度が導入されています。全ての人が公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことでお互いの負担を軽減する制度のことを指します。原則的に、全ての国民が公的医療保険に加入しなければなりません。
国民皆保険制度を通じて、世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現しているともいえるでしょう。
この制度には、一般的な健康保険と国民健康保険の二つがあります。会社員の場合は、通常は会社がこの健康保険に加入しており、給与天引きで保険料が支払われているケースが多いでしょう。
保険料は会社と従業員が折半で支払うのに対し、フリーランスが加入する国民健康保険は、全額が加入者の自己負担となります。
国民健康保険と健康保険の違い
国民健康保険と健康保険の違いとして、保険料の負担割合の他にも次のような違いがあります。
国民健康保険 | 健康保険 | |
加入対象者 | フリーランス、個人事業主、自営業者、短時間労働者など | 会社員(被雇用者) |
保険料の負担割合 | 自己負担100% | 自己負担50%、会社負担50% |
医療費の自己負担 | 3割(6歳未満および70~74歳は原則2割、75歳以上は原則1割) | |
傷病手当金・出産手当金 | 基本的になし | あり |
保険料の算出方法 | 前年の所得と世帯人数、加入者の年齢を元に算出 | 一定期間内の給与・賞与額に応じて算出 |
扶養にまつわる対応 | 扶養の考え方はなく、世帯の被保険者1人ずつ所得に応じて保険料が課される | 条件を満たせば配偶者や子どもを被扶養者にでき、被扶養者の病気やケガ等についても保障され、扶養人数が増えても保険料は一定 |
保険料の支払い方法 | 自分で支払う(口座振替、クレジットカード、納付書払いなど自治体により異なる) | 給与から天引き |
運営元 | 都道府県と市区町村 | 健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ) |
会社員を辞めてフリーランスになる場合は健康保険の任意継続が可能
会社員を辞めてフリーランスになる場合、国民健康保険に加入せずに、所属していた会社の健康保険を任意継続することも可能です。
ただし、任意継続ができるのは2年間のみで、保険料は会社との折半ではなく、全額自己負担となります。会社員時代のように会社が保険料の負担をしてくれることはありません。
任意継続をするためには、退職日までに2ヶ月以上継続して社会保険に加入している必要があり、退職した次の日から20日以内に健康保険組合に必要書類を郵送する必要があります。任意継続を希望するのなら、加入期間を事前に確認しておきましょう。
また、1日でも保険料の支払いを滞納すると脱退となるため注意が必要です。
フリーランスが保険に加入すべき理由
フリーランスとして働く場合に、保険に加入することの重要性を考えてみましょう。保険に加入しない場合のリスクや、フリーランスならではの経済的リスクについて詳しく見ていきます。
保険に加入しない場合のリスク
フリーランスとして働くことは自由で柔軟な働き方ですが、同時に保険に加入しないことにより生じる多くのリスクが存在します。
例えば、健康保険に加入していない場合、突然の病気やケガによって医療費が高額になる可能性があります。特に重大な疾患や事故で入院が必要になれば、数百万円単位の医療費がかかることも珍しくありません。このような場合、自己負担が大きくなり、経済的に深刻な影響を受けることになるでしょう。
フリーランスならではの経済的リスク
病気やケガをした際に傷病手当金が支給されないだけでなく、将来的に受け取れる老齢年金が少なかったり、亡くなった場合の遺族年金が少なかったり、これらのリスクは単なる想定外の出来事だけでなく、フリーランスとしての生活が多様化する中で日常的に直面する可能性もあります。
また、フリーランスは、仕事が安定しないことがあります。仕事の依存度や収入の不安定さから、保険によるリスク管理が非常に重要です。特に、収入が一時的に途絶えることで生活が困難になるリスクがあります。
フリーランスは手厚く保険に加入すべき
保険に加入することは、将来的な経済的な安全保障を確保する上で非常に重要と考えられます。保険料の支払いは負担に感じるかもしれませんが、それは将来の不測の事態に備えるための賢明な投資であり、自己保護の一環ともいえます。
フリーランスの場合、会社員と比べて退職金や年金、健康保険などの社会保険の制度が適用されないため、自ら保険を用意する必要があります。特に、長期的な視点でのリスク管理が求められるでしょう。
まとめ
会社員時代とは異なり、自ら保険を選択・管理する必要がありますが、その分、自身のライフスタイルやリスクに合わせた柔軟な保険選びが可能です。適切な保険に加入することで、万が一の際に経済的な負担を軽減し、安心して仕事に集中できる環境を整えましょう。